大好きな音楽を、最高の没入感で楽しみたいと思ったら、やはりおすすめはヘッドホン。ワイヤレスならコードのわずらわしさを気にせずにどこでもオーディオを楽しめるので、なおいいですよね。ハイスペックのヘッドホンなら高度なノイキャン機能や通話音質、状況を認識して外部音を取り込んでくれるモードなど、一昔前では考えられない充実機能が満載です。ということで、今回はWirecutterおすすめのBluetoothヘッドホンをご紹介します!
Wirecutterでは操作性やフィット感、音質などあらゆる観点で数多くのワイヤレスヘッドホンをテストしました。その結果、今回のおすすめナンバーワンは、直感的な操作性と快適なフィット感を楽しめるJabra Elite 85hに決定しました。毎日使うのが楽しみになってしまうオーバーイヤータイプのヘッドホンで、ペアリングも簡単。コントロールもシンプルでわかりやすく、素晴らしいサウンドにクリアな通話、アクティブノイズキャンセリング機能に長寿命バッテリー、さらに耐水性も備えており、あらゆる場面で活躍するオールマイティーなパフォーマーです。
おすすめナンバーワンのオールマイティな優等生:Jabra Elite 85h
素晴らしいサウンド、素晴らしいデザイン。Jabra Elite 85hは同価格帯の他製品と比べて、あらゆる面で優秀です。
Jabra Elite 85hはBluetoothヘッドホンに必要なものがすべて備わっています。自動Bluetoothペアリング機能と大きくて使いやすい操作ボタンを搭載しており、直感的にセットアップできるので箱から出してすぐ素晴らしいサウンドを楽しむことができます。アクティブノイキャンONでバッテリー寿命は36時間。15分チャージで5時間プレイ可能と、充電もスピーディです。Amazon、Apple、Googleの音声アシスタントとも連携し、通話時のマイクの品質はとってもクリア。耐水性もあり、雨による故障には2年間の保証付きです。アクティブノイキャン機能はBose Noise Cancelling Headphones 700ほどの性能ではありませんが、ノイズをしっかり低減してくれます。
予算を抑えたい方におすすめのベーシックなヘッドホン:Jabra Elite 45h
約100ドル(1万1400円)でコスパ最高のワイヤレスヘッドホン。こちらの製品はお値段以上のサウンドとフィット感、機能を提供してくれます。有線での使用はできませんが、バッテリーは長寿命でしょっちゅう充電する必要はありません。
Jabra Elite 45hは、リーズナブルで必要十分な品質を備えたJabra Moveのレガシーをしっかり継承しているコスパ最高の一品。価格の数倍優れた音質と快適さ、クリアな通話を楽しめます。無料のJabraアプリを使ってお好みのサウンドにカスタマイズすることも可能。ボディは軽量設計でピロータイプのイヤパッドは数時間着用しても痛くなりにくいデザインです。マイクの感度も良好で、電話やビデオチャットにも最適。1回の充電で50時間以上の使えるので、しょっちゅう充電する必要もありません。ほこりや水による故障については2年間の保証つきで安心です。ノイキャン機能はなく、有線で聞くこともできませんが、これらの機能を必要としないのであれば見逃せない逸品になっています。
こだわり派におすすめ!:ソニーWH-1000XM4
オフィスに最適なワイヤレスヘッドホン。ソニーが生み出した機能満載のヘッドホンで、周囲のノイズを大幅にカットして素晴らしいサウンドを実現します。ただしちょっとお高めで設定も複雑です。
ソニーWH-1000XM4ヘッドホンは周囲の声をしっかり遮断してくれるので、にぎやかなオフィスで仕事する際にもぴったりです。1日着けていても快適で、高性能マイクは電話やビデオ会議中の背景音をばっちりカット。ユーザの声を感知すると「認識モード」をオンにして音楽を一時停止してくれるチャット機能など、アプリベースのボーナス機能も充実しています。
初期設定では「音質最高」とはいえませんが、アプリでイコライザーを調節する手間を惜しまなければ(むしろそれが楽しい、という方も)XM4は他の追随を許さないほど優れたサウンドを実現してくれます。ちなみに、本製品のノイキャン機能は「人の声」に長けていますが、飛行機で発生するノイズに対しては効果的ではありません。耐水機能もありません。
Bluetoothヘッドホンをオススメしたい人
Bluetoothヘッドホンは音楽再生デバイスとケーブルでつながれるのが嫌な方、そこから解放されるためなら多少予算をかけても良いと思っている方向けです。また、ヘッドホンジャックがないスマホをお持ちで、アダプターを使いたくない場合にも最適です。Bluetoothのオーディオ品質は長い進化の道のりを歩んだ結果、今や上質な有線ヘッドホンにも負けない音質を期待できるようになりました。
本ガイドではヘッドホンタイプに焦点を当てていますので、耳の中に装着するイヤホンが好きじゃない方も必見です。ちなみにバッテリーはヘッドホンの方が長持ちしますし、今回おすすめするヘッドホンと同等機能を持つイヤホンを手に入れるにはかなり予算を上乗せしなければなりません。
ビデオチャットや通話などが多い方は、ヘッドホンよりもマイク付きのヘッドセットのほうが使いやすいかと思います。ワイヤレスのものもいくつかありますが、音楽を高音質で楽しめるものはそれほど多くありません。
Bluetoothヘッドホンの中にはアクティブノイキャン機能を持つものもありますが、今回のガイドでは「音質、快適さ、使いやすさ」を優先して選考しました。今のところ、最高の音質と最高のアクティブノイキャン機能を両立するのはむずかしそうなので、まずは自分が何を優先するか決めてから製品選びをすると後悔が少ないと思います。
機能満載でおすすめナンバーワンのBluetoothワイヤレスヘッドホン:Jabra Elite 85h
Jabra Elite 85hの魅力を一言でいうと「エレガントでシンプルなデザイン」。一見簡単に聞こえるかもしれませんが、他の競合製品だと細々した点でわずらわしさを感じることも多く、これがいかに重要かわかります。他のBluetoothヘッドホンだとボタンを誤操作しやすい設計のものもありますが、Elite 85hではあらゆるデバイスプラットフォームで操作しやすく、ペアリングも簡単。Amazon、Apple、Googleの音声アシスタントとも連動します。音質は音楽でも通話でもバッチリ。フィット感も快適でバッテリー寿命は最大36時間です。ノイキャンもまずまずで、雨に濡れての故障には2年間の保証つき。Jabra Elite 85hはひと言でいうと、使いやすくてただただ楽しいヘッドホン。価格もリーズナブルなので、毎日気軽に使えます。
過去4年間で200を超えるBluetoothヘッドホンをテストし、また多くのデバイスとペアリングしてきましたが、Elite85hのペアリング体験は感動的。製品を広げるとすぐに電源が入り、Bluetoothデバイスに未接続だと自動的にペアリングモードになります。ボタンを押す必要はありません。過去にペアリングされたデバイスが近くにあれば、最近使用された2端末に同時に接続します。
このデュアル接続がとても便利で、たとえばコンピューターで音楽を聴いているときに電話がかかってきても、さっとシームレスに通話へ移ることができます。手動切り替えでボタン操作をする必要もありません。ヘッドホンの電源を切るには、再度折りたためばOK。こうしたシンプルさが、この製品の魅力です。
Elite 85hヘッドホンはファブリック素材と柔らかい衝撃吸収パッドで、しっかりとした作りになっています。同価格帯の競合製品よりプラスチック感は少なめ。水やほこりによる故障も2年保証の対象になっているので、雨にぬれても心配いりません。
ボタンの操作はシンプルで、手探りだけでコントロールできるほど。ボタンも多すぎず少なすぎず、大きくて独特の手触りです。操作がタッチ式の商品もありますが、雨や汗でうまく反応しなかったり装着時に誤って認識してしまうことも。その点Elite 85hのボタンは耐水性がありますし、思いがけないところでセンサーが反応してしまう事もありません。
本製品は軽くて長時間装着していても快適です。眼鏡をかけている方は隙間があいてノイキャン効果が薄れてしまうかもしれませんが、パッドの素材はソフトなので眼鏡があっても耳などが痛くなる心配はありません。
バッテリー寿命は長く、アクティブノイキャンをオンにしていても36時間持続しました。ちなみにノイキャンなしなら、41時間。万が一、電池が空になった場合でも15分チャージで5時間使用できる「急速充電機能」を搭載しているので心強いです。また、ヘッドホンを外すと自動的に音楽を一時停止し、着けると再開する「オンイヤー検出機能」で、電池をさらに節約します。付属の12インチケーブルはちょっと短いですが、充電中でも使えるのはありがたい。
Elite 85hは箱から出してすぐに素晴らしいサウンドを楽しめますが、無料のJabra Sound +アプリを使用してイコライザーを調節すると自分好みの音を味わえます。全体的に85hの音質は素晴らしく、子音が耳に刺さることも男性のボーカルやベースギターといった低周波の音がぼやけることもなく、立体的な深みを楽しめます。アクティブノイキャンのオン・オフや有線・無線の違いにかかわらず、音質は一貫して満足できるレベルです。
この製品は通話にも最適。サウンドはクリアでマルチマイクが話者の背景にあるノイズを低減してくれます。普通の電話同様、通話中に自分の声の一部が聞こえるので、あえて大きな声で話す必要もありません。遅延は気づかないレベルで、動画視聴にもおすすめです。
目の前にいる相手と会話したいときや、外界から完全に遮断されたくない場合は、内部マイク経由で周囲音をヘッドホンに送ってくれるヒアスルー機能が役立ちます。これはJabra Elite75tでも採用している人気の機能。周囲音と音楽のバランスを上手にとってくれますので、不快だったり人工的過ぎたりということはありません。アクティブノイキャンやヒアスルーのオン・オフは左側のイヤーカップの専用ボタン、もしくはJabraアプリ経由で切り替えることができます。
アクティブノイキャンはマイルドで、低周波のノイズを低減してくれるものの、完全に除去するわけではありません。ただ、強めのノイキャン機能が不快だと感じる方もいると思うので、こちらの比較的穏やかなノイキャンのほうが合うこともあると思います。実際、今回のテストのパネリストの中にはBose QuietComfort35シリーズIIのようなアグレッシブなオーバーイヤーヘッドホンだと「圧」と頭痛を感じる方もいました。
気になる点
先述のとおり、Jabra Elite 85hのアクティブノイキャン機能は低周波音を効果的に低減するものの、Bose Noise Cancelling Headphones 700ほど効果的ではありません。ただ、ノイキャン機能にも好みがありますし、それが最優先事項でない方もいると思います。Jabra Elite 85hはほかのあらゆる機能が充実しているので、ノイキャン性能を十分カバーしてくれるはず。
Jabra Sound +アプリには、一見するとよさそうだけど実際には使えない…というボーナス機能がいくつか含まれています。たとえば「スマートアクティブANC機能」は、周囲の状況に合わせてノイキャンやヒアスルー機能を自動調節するとされていますが、意外と使えなくて結局オフにしてしまいました。“Find My Jabra”は位置情報でヘッドホンを見つけてくれる機能ですが、教えてくれるのは「アプリ搭載デバイスの近くで、最後にヘッドホンの電源がオンになった位置」。つまり、ヘッドホンの電源を切ってから場所を移動させてしまうと、マップは更新されません。しかもマッピングは建物ベースで部屋ごとではないので、具体的にどこにあるかがわからないのです。
今回テストした多くのワイヤレスヘッドホンと同様、Elite 85hの付属のコードにはリモコンやマイクはついていません。ただし、Jabraのアクティブノイキャン機能は有線で使用する際も使えますし、ヘッドホンの音量調節はどのデバイスを使用しているときも機能します。
1万円台で買える最高のワイヤレスヘッドホン:Jabra Elite 45h
Jabra Elite 45hヘッドホンはお手頃価格で素晴らしいパフォーマンスを手に入れられる商品です。音質は素晴らしく、軽量設計で数時間装着していても快適です。操作も簡単ですぐにおぼえられるのがうれしいところ。マイク音声もクリアで、通話やビデオチャットに最適です。フル充電で50時間使用可能。今回のテストに参加したパネリストの1人は「3万円クラスのヘッドホンに負けない音質」と太鼓判を押しました。これ以上のサウンドクオリティを求めるなら、倍の予算が必要になるでしょう。もっと大きなオーバーイヤーヘッドホンがいいという方もいるかもしれませんが、眼鏡をかける方にはこちらのデザインのほうが付け心地がいいはずです。アクティブノイキャン機能や充電が切れたとき用のオーディオケーブルもありませんが、これらの機能を必要としない方には最高の選択です。
ハイテク製品は価格も高いことが多いですが、Jabra45hは例外的といえます。サウンドはより高価な製品より上質ですし、Jabraアプリでイコライザーをカスタマイズする手間を惜しまなければ自分好みの音を楽しむことができます。深みと立体感を感じさせるサウンドステージで、あらゆるジャンルの音楽を心地よい音で再生してくれます。初期設定では低音と高音がややシャープかなという感じですが、これもアプリで修正できるので問題ありません。中低音はわずかに濁っている印象で、イコライザーでも完全には消えませんが、これくらいは許容範囲。ましてこの価格のヘッドホンならまったくマイナスポイントにならないといえます。
装着感については、テストに参加したパネリスト全員が「快適」と答えました。イヤーパッドは低反発まくらのように衝撃を吸収する素材で、パッド入りのヘッドバンドは髪の毛が引っかかったり頭皮を引っかいたりすることもありません。オンイヤーデザインなので、眼鏡をかけている人にはオーバーイヤーのElite 85hよりも快適かもしれません。イヤーカップはスイーベル(回転)機能つきで、穏やかなホールド力のヘッドバンドと柔らかいパッドで、締め付け感は気になりませんし、イヤーカップが眼鏡のフレームを圧迫することもありません。
Elite 45hヘッドホンはほかのおすすめ製品ほど周囲ノイズを遮断しませんし、アクティブノイキャン機能もありませんので、長時間のフライト時には不向きかもしれません。私がこの製品のレビューを執筆している間、5歳の男の子が同じ部屋で遊んでいたのですが、音楽さえ流していればゲームの音も壮大な宇宙戦争ごっこの声も邪魔になるほどではありませんでした。
本製品はマイク性能も優秀で、周囲音や風切り音を低減して声をクリアに届けてくれるので、通話やオンライン会議が多い方にもおすすめです。試しに「静かな部屋」と「Vornade製ファンの風を顔に当てながら」という2つの条件で通話テストをしてみましたが、いずれの場合も電話の相手にこちらの声はしっかり届いていたようです。風切り音低減モードに入ると「声」の音声は少し圧縮されますが、台風の様子を伝えるお天気キャスターのようにはならないので、お値段を考慮すれば問題ないでしょう。
Elite 45hは操作もシンプルで覚えやすく、物理的なボタンを採用しているので感覚的に使いやすい仕様です。クリック音もうるさくないですし、イヤーカップを拭き掃除する時に誤ってオンになってしまうこともありません。音声アシスタントボタンでは、Siri、Googleアシスタント、Amazon Alexaを起動させるようにカスタマイズできます。電源のオン・オフがはっきりわかる専用ボタンを搭載しているのもありがたいです。
45hは一度に2つのデバイスに接続できるので、スマホとPCなど頻繁にデバイス切り替えする人にとっては比較的シームレスに切り替えられるのが便利です。ただ、片方のデバイスがラップトップの場合、ハンドシェイクの問題が発生する恐れがあります。たとえば、携帯電話で音楽を聴いているときに、CMなどの自動再生動画があるWebサイトを起動すると、サウンドはラップトップに切り替わり、動画を一時停止してもページを閉じるまでそこにとどまります。まあ、これはそれほど大きな問題ではないでしょう。
ただ、お気に入りのオーディオプレイリストがしょっちゅう中断される場合には、使っていないデバイスは切断してみてください。切断してもペアリングが解除されるわけではなく、再度使用する時にはあらためて接続すればOKです。この問題も45hに限ったものではなく、デュアル接続を搭載するデバイスにはよく見られる問題です。
JabraはElite 45hのバッテリー寿命について「フル充電で50時間再生」としていますが、実際のテストではさらに長く、60時間再生できました。言い換えれば、木曜日の朝にスタートして土曜日の夜までずっと持続するほど。音楽やポッドキャストを1日8時間再生したとして、1週間に1回程度充電すれば良いことになります。もちろん、通話や音量などでバッテリー性能は多少左右されますので、ご注意ください。
さらに本製品には急速充電機能があるので、15分充電で10時間再生できるようになります。約1時間半でフル充電でき、充電中も使用可能です。
前述のとおり、Elite 45hにはアナログケーブルがないのでBluetooth接続に対応していない(デスクトップなど)デバイスをお持ちの方には不便かもしれません。ただ、最近は無線オンリーのデバイスも増えていますし、これだけのバッテリー性能や急速充電機能を搭載している点を考えれば、とても使いやすいヘッドホンだといえるでしょう。
Jabraは堅実なカスタマーサービスとビルド品質を維持している点も評価されており、ほこりや水による故障に2年間の保証が付いています。ただ、IP規格には対応しておらず、たとえばジムで汗をかきながら使用する設計にはなっていません。雨の日に駐車場から店までの数十メートルをダッシュでいく、くらいなら耐えられるかもしれませんが、水ベースのアクティビティには不向きです。
Jabraのアプリには、簡単な聴力検査にもとづいてイコライザーを調整する「マイサウンド」設定があり、軽度の難聴に悩んでいる方にも使いやすい仕様になっています。今回のテストでは、「マイサウンド」をアクティブにしてもオーディオにあまり変化がないという意見もあり(パネラーの中に聴覚の問題がある方がいなかったので当然ですが)、マイサウンドよりも自分でカスタマイズしたサウンドバランスの方が良いという人が多かったです。ただ、アプリでの聴力検査では詳しいことはわかりませんので、聴力などに不安がある方は専門医にご相談ください。
こだわり派向けのカスタマイズ系ワイヤレスヘッドホン:ソニーWH-1000XM4
ソニーWH-1000XM4ヘッドホンは、快適なフィット感、確かなノイズ低減機能にクリアなマイク音質、そして音声起動認識モードなどの便利な追加機能がうれしいヘッドホンです。オーバーイヤー式の本製品は、「ビジネスマンもオーディオ好きも満足」の付属品がたくさんついていますが、その分価格も高め。また、XM4の機能を満喫しようと思うと、アプリでかなり複雑な設定をしなければならないという難点も。それでもその苦労を乗り越えた先には、最高のサウンドと最上級の技術を積んだBluetoothヘッドホンを堪能することができます。
前代のWH-1000XM3同様、XM4は低反発ウレタン素材を採用した立体縫製イヤーパッドとヘッドバンドは軽くて快適なビルド品質を実現。右のイヤーカップにはタッチセンサーコントロールパネルが、左のイヤーカップには2つの物理的ボタンが設置されています。通常はJabra 85hのように、物理ボタンのほうが使いやすいのですが、ソニーのタッチセンサーは「うっかりタッチ」や湿度、温度に反応しすぎるということはありません。左のイヤーカップにある物理的な多機能ボタンは、ノイキャンモードの切り替えやAmazon AlexaやGoogleアシスタントをアクティブ化操作など、好みに合わせてカスタマイズできます。
XM3のタッチコントロールは温度に関連した誤動作が見られましたが、XM4ではこの問題は修正済みとのこと。今回のテストで実際にヘッドホンを冷凍庫に数分間入れてみましたが、特に問題は起きませんでした(※絶対にマネしないでください)。今後、さらに長期使用の観点でも見ていきたいと思います。
XM4は周囲音、特に人の話し声や赤ちゃんの泣き声の低減に優れており、カフェやオフィス、在宅勤務などで活躍するはず。飛行機のエンジン音やエアコンの作動音といった低周波の音はあまり得意ではなく、アクティブノイキャンは微調整できません。
ソニーWH-1000XM4の醍醐味でありかつ欠点なのは、初期設定のままでは「お気に入りのサウンド」とはいえないところ。低音域と中低域の存在感が強すぎて、高音が凹んでいるような感じ。言うならば、薄いガーゼ越しに写真を見るような曇った音で、ディテールが欠けているのがわかります。ただ、アプリのイコライザーを調節すると(低音と高音をちょっと下げて、低音域の高周波数をわずかに上げる…など)、理想のサウンドにかなり近づきます。
まるで霧が晴れたように、XM4が「最高サウンドのBluetoothヘッドホン」の仲間入り。クリアで繊細なディテールに満ちた高音と、パンチとピッチの効いた低音を響かせます。ただ、この音を手に入れるまでにずいぶん手間がかかるのが大きな難点です。箱から開けてすぐこれならどんなにいいか…。機械好きやオーディオファンはサウンドいじりも楽しみの1つかもしれませんが、そうでない人にとっては「価格が高いのに面倒」というハードルを越えられないかもしれません。
本製品のバッテリー寿命はソニーいわく、アクティブノイキャン機能ONで最大30時間、OFFで最大38時間であるそうですが、「音量60%・アクティブノイキャンON」でテストしてみたところ、26時間しかもちませんでした。ちなみに短い通話をすると、24時間に減少しました。ただ、こちらの機種は急速充電機能が優秀で、10分間の充電で5時間ほど使用可能に。なので、バッテリーについてはこれで十分満足できそうです。バッテリー性能は音量や通話時間、ノイキャン機能の有無などで変わります。
バッテリー残量が少なくなるとアラートが出て、電源ボタンをタップすれば残量を確認できます。ただし、残量は10%刻みで測定されるので、「10%」と表示された場合は「1%~10%」ということになるので、突然ブチっと終わってしまうこともあるので注意が必要です。アナログケーブル付属なので有線でも聞けますが、リモコンとマイクはありません。
ソニーのヘッドホンアプリにはカスタマイズOKなオプションが豊富で、ほぼすべての機能をオン・オフ、または変更できます。たとえば登録したスマホのGPS情報と連携し、頻繁に訪れる場所に合わせてノイキャン・外音取り込みを自動調節することも可能。もちろん、機能が不要の場合はオフにすることもできます。「使いたくない機能はオフにできる、って普通じゃない?」と思われるかもしれませんが、役に立たない機能を解除できないヘッドホンアプリが意外に多いんです。
ソニーXM4の機能で非常に魅力的だったのが、音楽を聴いているときにもユーザーが声を発すると「話している」ことを検出し、音楽再生を一時停止して外音取り込みモードになってくれる新機能です。話すのをやめると再びモードがオフになり、音楽が再開します。切り替えまでの時間(15秒から1分)を調整することも、手動シャットオフを選択することもできます。カフェでコーヒーを注文するときも、同僚からの質問に答えるときも、夕食準備中にお子さんの声掛けに応えるときも、この機能は一度手にしたら手放せなくなるでしょう。
XM4はマイクもかなり優秀。通話品質でいえば、Jabra 85hと並んで最高のBluetoothヘッドホンです。このマイクは話者の声をしっかり拾い、背景のノイズを低減する優れた機能を備えているため、職場でのビデオ会議も外出中の電話もはっきりと聞こえます。ファンの前でマイクのテストをした際、XM4は内部センサーによってユーザーの声を認識しているようで、話すのをやめるとマイクがオフになりました。これはつまり、電話の相手がずっと風の音にさらされることはないということ。こちらがしゃべっているときには風音が聞こえていますが、声が届かないほどではなかったようです。ノイズ低減ソフトで多少声のトーンも圧縮されますが、気になるほどではありません。
XM4にはほかにも360RealityAudioやDSEE Extremeなど、音楽関連機能がいくつか搭載されています。360 Reality Audioはより立体感のある没入型のオーディオ体験を味わうことができますが、今のところ互換性のあるメディアが少なく、最高ランクのサブスクでもラインナップは多くないのが残念なところ。一度試してみたのですが、月に数千円もかけるほど音質の違いは感じられませんでした。
DSEE Extremeに関してはオーディオファイルをその場でアップコンバートし、圧縮によって割愛されたディテールを補う効果があるとのこと。しかし、古いMP3のコレクションを大量に持っている人でもない限り、それほど恩恵を感じることはなさそうです。DSEEを起動しても問題はありませんが、大幅な音質改善効果は期待できないようです。
まだある!おすすめのオーバーイヤー・オンイヤーBluetoothヘッドホン
Apple AirPods Max:ひと言でいうと「サウンドとデザインが非常に優れたワイヤレスヘッドホン」。Appleデバイスと簡単にペアリングでき、飛行機のノイズに合った周波数帯域では過去最高のノイキャン機能を実現しています。もっと安くて軽くて、もう少しアクティブノイキャンを微調整できるならBose NC700にとって最大の強敵となったことでしょう。ちなみに、ソニーのWH-1000XM4のほうが軽くて安価なうえ、バッテリー寿命が長く、人間の声域であればノイズアイソレーション機能も上です。
Anker Soundcore Life Q20:高価格帯のヘッドホンより付属機能は少ないですが、ノイキャンや音質といった基本性能は問題なし(若干低音が重めですが)。軽量のシャーシとソフトなイヤーカップは非常に快適で、30時間持続のバッテリーも優秀です。有線でも使えて操作も簡単。イコライザーやアクティブノイキャンの調整には対応しておらず、タッチコントロールや音声認識機能はありませんが、1万円を大幅に下回る価格で必要十分な機能を提供してくれるお買い得な逸品です。ただ、ノイキャンが不要な方にはJabra Elite 45hのほうがバランスの良いクリアな音質を楽しめて、使いやすいかもしれません。
Beats Solo Pro:眼鏡を着用してアクティブノイキャンがほしいというAppleファンの方は、こちらの商品を検討する価値があるかもしれません。Solo Proはオンイヤーデザインなので眼鏡のアームを圧迫したり、頭をしめつけることはありません。フィット感はとっても快適で、AppleのH1チップ搭載でユーザ体験は非常に直感的。AirPodsのペアリングプロセスに慣れているAppleユーザーはさらに使いやすいと思います。
ヘッドホンを広げて電源を入れると、iPhoneにSoloProポップアップが表示されます。 トランスペアレンシーモードは会話時に役立ちますし、パススルーのオーディオインターフェースにありがちな音質の不快感もありません。ノイキャン機能はBose700ほどではありませんが、調節可能なアクティブノイキャンは飛行機のノイズをしっかり低減してくれるので、音量を抑えた状態でも音楽を楽しめます。音質はかなり良いですが、低音がちょっと強めです。
Bose Noise Cancelling Headphones 700:こちらはWirecutterおすすめのノイキャンヘッドホン。軽くてバッテリー寿命も長く、操作も簡単で、Google・Apple・Amazon Alexaの音声アシスタントと互換性があります。ただし、耳への圧迫感(いわゆる「鼓膜吸引感」)に敏感な方はアクティブノイキャンをMaxにはしないほうがいいですね。本製品ではノイキャンレベルを変更できるので、自分の耳に合うように設定することをおすすめします。ただ、レベルによってはノイキャン効率がより安価なヘッドホンと同等になる場合があります。
House of Marley Positive Vibration XL ANC:環境への優しさを重視する方には、他メーカーよりも環境に配慮したアプローチを採用する同社の製品がおすすめです。アクティブノイキャン機能を使用しないのであれば、こちらは本当に素敵なBluetoothヘッドホンです。柔らかパッド入りのヘッドバンドとイヤーカップでフィット感は快適。多くの最新型Bluetooothヘッドホンと違い、シングルボタンのリモコンとマイクのついたケーブルが付属しているので、バッテリーが切れても通話OK。
ノイキャンは低周波音域では効果的ですが、遮音性はイマイチ。鼓膜吸引感に敏感な方はアクティブノイキャン機能が不快に感じるかもしれません。ノイキャンをオフにすればバランスのとれたクリアで最高のサウンドを楽しめます。アクティブノイキャンをONにしているとサウンドのレスポンスが阻害され、ベースノートも大きいのに鈍いという印象になります。
JBL Live 650BTNC:この製品はいくつかマイナスポイントがあり、おすすめ製品の選考から漏れています。アクティブノイキャン機能はソニーのWH-1000XM4ほど効果的ではなく、サウンドもJabra Elite85hほど良くないのですが、Jabra45hほど安価でもありません。もしパフォーマンスと価格のバランスが良いと思われる場合は検討する価値があるかもしれませんが…。
今回のテストでは、より高価なモデルほどクリアではありませんが音のバランスも良く、アクティブノイキャンもまずまずでフィット感は快適でした。付属のケーブルにはリモコンとマイクがついており、これはポイント高めです。ただ、一番のおすすめポイントは手の出しやすい価格になります。
Marshall Major IV:オンイヤータイプのこちらのヘッドホンは、「ウォーマー」と呼ばれるマーシャル独自のサウンドが特徴です。低音はやや穏やかで高音も強すぎません。高周波では子音が際立ち、男声ボーカルの鈍い響きは軽減されますが、全体的に音は滑らかで心地よいです。柔らかいパッドは快適ですが、ヘッドバンドはきつめなので頭が大きい方や髪の毛が多い方は長時間使用に不向きかもしれません。1つのマルチボタンでトラック、音量、通話のすべてを操作できるので、手探りでも非常に使いやすいのがうれしいところです。
入出力ポートつきなので、付属のケーブルでも使用できますし、別のヘッドホンを本製品に接続して同じオーディオデバイスを共有することもできます。有線での充電はもちろん、Qiワイヤレス充電にも対応しています。イヤーカップを充電パッドの正しい位置にセッティングするのが少々むずかしいですが、ケーブルが煩わしい方にはとっても便利です。バッテリー寿命は80時間と長め。
Insignia NS-HAWHP2:ヘッドホンをつけてテレビを楽しみたい方にはBluetoothではなく、遅延が出にくい無線周波数(RF)送信を使用するこちらのセットがおすすめです。サウンドは良好で、フィット感も軽くて快適なのでドラマの一気見などにも最適です。
これからのBluetoothヘッドホン
JBLは、Under Armour Project Rock Over-Ear Training Headphonesを発表。長いタイトルからわかるように、こちらはアクティブノイキャンに耐汗性、洗えるイヤパッド、滑り止め、通気性のあるデザインを備えたオーバーイヤー型のワークアウト用ヘッドホンです。Google・Alexaと互換性があるほか、外音取り込みモード、急速充電機能、45時間のバッテリー寿命といった高性能タイプです。価格は300ドル(約3万4500円)ほど。テストができ次第、レビューを公開します。
AudioTechnicaは新たにBluetoothヘッドホン2製品をリリース。1つめのATH-M50xBT2は、人気のあるM50xラインの進化形です。最新バージョンではマイク品質が向上し、Amazon Alexa音声アシスタント内蔵でマルチポイントBluetooth接続、専用アプリでのサウンドプロファイルのイコライザー機能が追加されています。価格は200ドル(約2万3000円)ほど。
もう1つのATH-HL7BTは20時間のバッテリー寿命、マルチポイントBluetooth接続、急速充電機能、Siri・Alexa・Googleアシスタントとの互換性を備えた手頃な価格のオンイヤータイプ。両製品についてもテストができ次第公開予定です。
※価格など表示内容は執筆現在のものです。変更の可能性もありますので、販売ページをご確認ください。
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