たった30円!Amazonに出品されている得体のしれないBluetoothイヤホンを買ってみた
そこにはこの世のありとあらゆる商品がひしめいている。
コロナ禍以降、不要不急の外出を控える中で必然とAmazonを利用する機会が増えたという方も、結構多いのではないだろうか。
当然筆者もそんな中の一人。そんな、コロナ禍においてもAmazonには素晴らしい商品が山ほど出品されているところではあるが、中には正体不明の怪しいアイテムも少なくない。
俗に言う「令和最新版」呼ばわりされている、某国からの得体のしれない商品の数々。そういったものから特に危険な香りの漂うものをセレクトし、実際に購入してみた結果をこちらで紹介する……そんなコラムを書いて立派な人柱になり、皆さんのお役に立とうというのが今回の趣旨である。
今日の怪しいアイテムは、人間工学に基づいて設計されたとされるBluetoothイヤホン。…価格はなんと、おどろきの30円だ!
海を越えてやってきた!30円のワイヤレスイヤホン!
今回注文した、Bluetooth対応の自動ペアリングワイヤレスイヤホン。商品名はやたら長く、正式名称は「Bluetooth イヤホン ワイヤレスイヤホン 自動ペアリング マグネット搭載 ノイズキャンセリング機能 スポーツイヤホン 時間連続再生 スポーツ用ワイヤレスイヤホン カナル型 マグネット搭載 音量調整可能 ハンズフリー通話 通話&音楽 ノイズキャンセリング搭載 人間工学設計 防汗」である。ちょっとでも目を引くために、思いつくワード全部入れてみました感が物凄い商品名である。
注文したのは1月20日。
そしてこれが届いたのが2月17日のことだった。
ちなみに送料が370円かかるので、商品よりも遥かに高額となる。でもまあワンコイン以下だから缶ビール1本分ぐらいで購入できるわけなので問題なし。海外からの発送なので、1か月ぐらいで届いたのも御の字である。
Amazonの商品説明文が結構香ばしく「斬新なネックレス型設計で耳にぴたったりし、どんなに揺れても外れる心配はありません。本製品はスポーツの好きな皆さんのために開発したイヤホンです。使用していない時、縺れるのを防ぎます(原文ママ)。」と、文章が少々不自然。
実際に手元に届いて思ったのは、包装の斬新なほどの適当さであった。小さな包みの中に入れられただけの状態でポストに入っていたので、海外からの発送にしてはだいぶラフだなぁと感心した。
開けてみると一応プチプチの梱包があったけど、それもほぼ潰れている始末。長旅で色んなことがあったのだろう。ともあれまずは充電だ。
充電はUSBから行えるが、充電器は付属されていない。当然だ。30円なのだから。
見せてもらおうか。商品代金より配送料が10倍以上高い謎のイヤホンの性能とやらを!
しばらく充電してから、いよいよこの30円イヤホンの使い心地を調べることに。説明書は英語で書かれており、しかもやたら小さい。早々に「字が小さすぎて読めなぁい!」になってしまったので、ハズキルーペを持たない筆者は早々に破り捨ててしまった。
幸いにも電源ボタンらしきものは1つしかないので長押しすると、ものすごいネイティブな発音の英語が結構な音量で流れてきたので、ついつい笑顔に。
「音がうるさいな」と思って音量を下げるボタンらしきものをポチポチ押すが、前述の音量は変わらない。
とりあえず気にしないことにして手持ちのスマホとペアリングさせてみた。これに関してイヤホンの電源を入れた状態でスマホの「設定」からペアリングさせればいいだけなので、特に難しいものではない。
一度ペアリングさせると、イヤホンの電源が切れていない限りはスマホをスリープさせていてもずっと接続は維持されている。
30円にしては、悪くない……とこのときまでは思っていた。
そこからサブスクの音楽アプリを立ち上げてみると、ちゃんとBluetoothイヤホンから音は流れてくる。しかしその音がどうにも低品質だった。薄々予想はしていたが、昔のポータブルMDプレーヤーみたいな音質なのだ。
ところでAmazonでのこの商品の紹介ページには「素晴らしいベースステレオサウンドを提供します」と書かれていた。
しかし実際素晴らしいベースステレオサウンドを享受できたかと言えば、これはシンプルに「NO」と言う他ない。
ま、30円なんだからちゃんと使えるだけマシなんだけど。でも、そもそもこれステレオかなぁ。音がのっぺりしてて、手持ちのちゃんとしたイヤホンと比べると、その違いは明らか。
モノラルのような気がしてならない……これについては、同商品を購入した他の人も、レビューにて「モノラルで音質は悪い」と書き込んでいる。筆者以外にもステレオ表記に疑問を抱いている人はいるようだ。
恐らく防汗・防水機能もないのではないか?
この30円イヤホン、商品名には「防汗」という文字が並んでいた。さらに商品説明欄には「雨や汗に恐れず、運動の邪魔にならず、日常でも運動中でも適応です」と、まるで防水機能があるかのような謳い文句も。
筆者などは疑り深い性格なので、最初から信用していない文字列だったが、実際手元にあるイヤホンを見ても、防水機能はないように見える。
事実、イヤホン本体にある充電用USB端子との接続部分もめちゃくちゃむき出しで、しかもこれを封じるカバーなども存在しない。
なので、このイヤホンを装着して入浴中の動画観賞などは夢のまた夢と考えるところだ。
フル充電でもせいぜい1時間で使用できなくなる微妙なコスパの悪さ…
そんな30円のイヤホン、Amazonの商品仕様を見ると充電には2時間かかると記載されている。2時間も充電するとなると結構な耐久性がありそうなものだが、実際に音楽を聴くだけに使っていると、1時間もしないうちに充電切れになってしまった…。
しかし、仕様を見直すと音楽の再生の場合2.5時間から3時間は連続使用できると書いている。「おいおい、優良誤認か?」と思ってしまうところだが、結局「でも30円ならこんなもんか」という気持ちがすぐに沸いてきてしまい、あんまり怒る気にはならない(笑)。
でもそれならそうで、正直に「1時間ぐらいしか持たないよ」って書いてくれればいいのに。人間、正直が一番なのだから。
もっとも、Amazonのレビューを見ると「充電が20分しか持たなかった」という報告もあるので、商品の状態によっては満足に使えないものもあるのかもしれない。
さすがにこれをもう1つ取り寄せるのはバカげているので検証はしないけど。
どの辺が人間工学設計なのか判然としない、謎の磁石付きイヤホン
それから、このイヤホンは「人間工学設計」という文字を商品名に大胆にぶち込んでいる。恐らくこれは、イヤホンの形状に由来するのだろうが、実際の付け心地は特にしっくり来るものでもない。微妙に重いし、スポスポ外れてしまう。
外れてもコードで繋がっているのでそんなに不便ではないが、コードで繋がっている時点で厳密にはワイヤレスでも何でもない気がしてきた。でも商品の形状自体は購入前に確認できるので、ここを責めるのは筋違いか。
ちなみに、「もしかして」と思ってイヤホンから伸びるコードを引っ張ってみたが、普通に取り外し不可だった。
そんな謎イヤホンだが、もう一つ謎機能がある。
なんとこのイヤホン、左右それぞれに弱~い磁石が内蔵されていて、ゆる~く引っ付くのだ。ちょっとでも引っ張ると外れてしまう程度の磁石。
これを内蔵することで、一体どんなメリットがあると言うのだろうか……むしろ磁石なんか入れてるから、耳から外れやすくなっているような。それに、どうせコードで繋がってるのに。
総評!30円のBluetoothイヤホンは、音質にこだわってない人
そもそもたった30円の商品ということもあるんだけど、海外から発送するにしてはあまりに梱包が適当で「よくこんな感じのものがちゃんと日本に届くなぁ」と感心するレベル。
そう考えると手元に無事に届いた時点で送料分の元も取れたという感じはするが、モノはイヤホンなのでその性能だってせめて最低限のクオリティは期待したい。
となると今回のこのイヤホンの音質は、決して褒められたレベルでもないもので、子供が夏休みに工作したラジオぐらいの雑味のある音しか味わえない。
どう聞いてもステレオ音声でもないし、聴きごたえのある音を楽しみたいなら、素直に数千円するイヤホンを購入しておくに限る。
今回は敢えて、こういう見えてる地雷をジャンプして踏み抜いて見事大爆発したって報告になるが、賢明な皆様にあっては絶対に手を出さないに限る。30円の無駄なので。
30円あればおかしのまちおかでおやつカルパスが買えるし、絶対そっちのほうがいい。
安物買いの銭失いという言葉があるが、まさにこういうのを言うのだろう。安物はどうしても質が悪いし、耐久性もない。最初からいい値段のものを購入して、大切に使うのが一番の節約となる。
とするとこのイヤホンの存在価値は、どこにあるのだろうか……せいぜい、嫌いな人の誕生日に贈るプレゼント候補とか?
しかし、電源を入れた時のネイティブな英語音声がやけに面白いし、意味のない磁石を内蔵しているという特徴が変に興味をそそる部分はある。なんというか、憎めない粗悪品という印象を受けた。ともかく今回のBluetoothイヤホン、最後にその評価を独断と偏見に基づいて採点したい。
ズバリ、12点(100点満点中)!
文/松本ミゾレ
編集/inox.