「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚」レビュー - GAME Watch

「炭治郎」の壮絶な戦いをその手で体感できるソロプレイモード“ヒノカミ血風譚”!

 「炭治郎」達の軌跡を辿るソロプレイモード“ヒノカミ血風譚”は本作のメインコンテンツと言っても過言では無い。「鬼滅の刃」の物語を追体験できるこのモードでは忠実に再現された世界を歩き回って探索を行なったり、原作に登場した数々の「鬼」と戦闘を行ないながらストーリーを進めていくこととなる。漫画・アニメとも違うゲームならではのグラフィックス表現はキャラクターの動きが多い作品である「鬼滅の刃」と非常にマッチしており、物語への没入度が高く完成度の高い仕上がりとなっている。

忠実に再現された世界の中を「炭治郎」をはじめとしたキャラクター達を操作して歩き回れる!様々な「鬼」との激闘をゲームで再現! 様々な「血鬼術」もギミックとして表現されている

 自由にMAPを動き回り探索を行なうパートでは主に「炭治郎」を操作して様々なイベントを見たりアイテムを回収しながら物語を進めていく。時に「鬼」の後を追ったり、時に街の中で聞き込みを行なったり、時に敵地を探索したりなど物語の展開に合わせて行なうことは多岐に渡る。物語に沿って操作できるキャラクターが変化することもあり、その際にアクションや描写などがしっかりと変化するのも見逃せない。まさに「鬼滅の刃」の世界観を実体験できるパートとなっているのだ。

「藤襲山」での最終選別、「浅草」の街で「無惨」の追跡、細部まで再現された「蝶屋敷」を歩いてみたりと、探索パートでは存分に「鬼滅の刃」の世界を堪能できる基本ずっと操作することになる「炭治郎」は鼻が利くため「匂いの探知」を使って「鬼」の追跡などを行なうことができる。目的の場所への道筋が見えるため道に迷うことが無く安心だ臆病な「善逸」を操作するパートでは怖がって移動スピードが極端に遅くなる。いちいちツッコミを入れる「善逸」らしい可愛らしい描写もたっぷり味わえるぞ猪突猛進がモットーな「伊之助」を操作するパートでは逆に移動スピードが誰よりも早くなる。キャラクターに合わせて挙動をしっかり変えていることがよくわかる

 探索パートでは「鬼」に行く手を阻まれ戦闘パートに入ることがある。本作のバトルアクションは技を繰り出すなどの操作は簡単だが、攻撃タイミングや敵との間合いなどを考えたりなど、アクション性が高く奥深いシステムとなっている。

 「基本攻撃」と「技ゲージ」を消費して行なう「技」を組み合わせてコンボを組み上げるのが攻撃の基本となり、「追尾ダッシュ」を用いて相手に近づいたり、「ステップ」を用いて攻撃を避けたり、「ガード」で相手の攻撃を防いだりして、さらにはジャストタイミングで行なえる「捌き」で攻撃をいなしたりと、アクションゲームらしい数々の操作を用いてバトルを行なっていく。

「鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚」レビュー - GAME Watch

「技」は「技ゲージ」を使用するため乱発には注意する必要があるが、非常にカッコよくダメージも大きい!「追尾ダッシュ」、「ステップ」は敵に一気に近づいたり、攻撃を避ける為に頻繁に使うことになるアクションだ攻撃を避けきれない場合は「ガード」をすることも重要になる。敵が仰け反らないタイミングも多いためチャンスを待とう

 さらにド派手なアクションとして「奥義・開放ゲージ」を消費して行なう「奥義」と「開放」、そして「全開放」と呼ばれるアクションが本作には用意されている。「奥義」はその名の通り各キャラクターに用意された必殺技を放つことができ、原作さながらの派手な演出と共に大ダメージを与えられる。

 「開放」は一定時間内の間、攻撃力が上昇するなど戦いを有利にするバフ効果を得る状態だ。そしてその上を行く「全開放」は「開放」中にさらにゲージを使用すると行なうことができ、さらなる攻撃力上昇に加え「技ゲージ」を消費しなくても「技」を打ち放題になるなど圧倒的な攻撃力を得ることができる。「鬼」との戦いでも対人戦であってもどのようにこの「奥義・開放ゲージ」を駆使するかがバトルにおいて重要なポイントとなってくるのだ。

「奥義」は各キャラクターを代表する必殺技を放ってくれる。ダメージも凄まじいが演出にも特に気合が入っている…!「開放」中は様々な強化がなされるが、一番大きいのは「基本攻撃」のフィニッシュが変化すること。コンボの締めとして申し分ない攻撃を行なってくれる「全開放」を行なうと、キャラクターのカッコいいカットインが挟まる! 勝負を一気に決めてしまおう!

 この探索パートとバトルパートを行ない章を最後まで進めると、「手鬼」、「沼の鬼」、「朱紗丸・矢琶羽」等の作中で「炭治郎」達の前に強敵として現われたキャラクターとのボス戦が待っている。ボス戦では通常の「鬼」とは比べ物にならないほど強力な攻撃を仕掛けてきたり、しっかりと隙を突いて攻撃を行なわないと簡単に反撃を喰らってしまったりする。インタラクティブ・アクション、いわゆるQTEなどの特殊な操作が発生したり、ボスそれぞれが強化状態になると大技を放ってきたりと非常に歯ごたえのあるバトルを楽しむことができる。

高威力・広範囲の攻撃を多種多様に行なってくる。「炭治郎」の言う通り呼吸を乱さず落ち着いて攻撃を避けようボス戦ではイベントシーンなどでもQTEが発生する。凄まじい臨場感!各章のラストには原作でも登場していたキャラクターがボスとして待ち受ける…!

 物語の進め方もゲームらしく自由度が高く、主軸となるメインシナリオ部分は実際にキャラクターを操作して探索や戦闘を行なって描写されるのだが、原作での細かな描写やシーンなどはアニメ絵とナレーションを使用した「想いの欠片」と呼ばれるサイドストーリーで見ることができるようになっている。メインシナリオ部分だけでもストーリーはしっかりわかるように物語の描写が考えられているためゲームを早く進めたいプレーヤーにも優しく、また「想いの欠片」も見ることでよりストーリーを深く知ることができるので、どのように物語を進めるかはプレーヤー次第となっている。

 実際、今回筆者は「鬼滅の刃」の物語を詳しくは知らない状態でプレイしていたのだが、メインストーリーだけを見た状態でも物語をちゃんと理解でき、「社会現象になるのも納得だわ…」と思わず納得してしまう位には物語や展開を楽しむことができた。そこから興味を持って自発的に「想いの欠片」を見に行くというパターンが多かったので物語を楽しむという部分においても本作は非常に優れていると言えるだろう。

 ボス戦でのQTEや各イベントでの表現も素晴らしく、臨場感溢れるアクションには心が躍り、探索パートを通すことで物語への没入感が強く高まったと感じている。ゲームとしての特性を上手く活かしているため、まさに「ゲームでしか味わえない鬼滅の刃」になっていると筆者は感じた。