早貴被告が運転するベンツは時速150kmの猛スピードで大阪方面に向かった【紀州のドン・ファンと元妻 最期の5カ月の真実】

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ドン・ファン名義のベンツで爆走(撮影)吉田隆

早貴被告が運転するベンツは時速150kmの猛スピードで大阪方面に向かった【紀州のドン・ファンと元妻 最期の5カ月の真実】

【紀州のドン・ファンと元妻 最期の5カ月の真実】#!46 アプリコでの会合は夕方遅くに終わった。早貴被告が運転するベンツは、野崎幸助さんの自宅脇の駐車場を出てバイパスで北に向かい、途中の南紀田辺ICから高速道路に入って大阪方面にハンドルを向けた。途中で誰かと接触するだろう、と私は推測していたのでハンドルを握る手に力がこもった。<114>野崎幸助さんからの相談「プロ野球の球団を持つならいくら必要?」 ただ気になったのは警察の姿がないことだった。行動確認(行確)するチャンスなのに全くその様子をうかがうことはできない。推理小説などでは警察の行確は秘密裏に行われるものとして描かれる場合が多いが、現実はそんなに甘いものではなく、周囲を見ていれば、おかしな動きをする者や不審な車は必ず分かるものだ。 例えば捜査員が通行人や作業員を装っても、レシーバーにつながったイヤホンを隠すのは至難の業である。フロントウインドーに2つのバックミラーが付いていたら覆面パトカーとみて間違いない。彼女のベンツに発信機を付ければ追跡できるだろうが、これは違法であり、警察がそんな危ない橋を渡るとは思えなかった。警察はもう十分証拠を握っていると考えていたのか、それとも彼女が田辺に来ていることも知らなかったのかは全く分からないが、私には不思議だった。■SAで1時間近く停車 南紀田辺ICに入ったベンツは10分も走らないうちにウインカーを出し印南のSAに入った。「やっぱり、そうか!」 早貴被告はここで誰かと会うのだと、私は確信した。ベンツから少し遅れてKカメラマンの車が続き、そして私の車も左ウインカーを出してSAに入った。私たちは少し離れた位置でベンツを挟むような形で駐車し、Kカメラマンとは携帯電話で連絡を取っていた。 SAの駐車場は閑散としていて10台ぐらいしか停車していなかったし、ベンツの近くに駐車している車はなかった。 彼女はエンジンを切らずに同じ場所に駐車していたが、そこに近づく車はなかなか現れない。5分、10分……30分経っても何も起こらない。「誰かと会うために待っているんじゃないのか」 私は携帯でKクンと連絡を取り合っていた。「ちょっと様子を見てきますわ」 Kクンは車を降り、彼女の車の近くを通って売店に向かった。すると携帯電話が振動した。「彼女、タブレットでゲームをしているみたいですよ」「ハア?」 待ち合わせの時間までゲームをしているってことなのか? タブレットを肌身離さず持ち歩き、ゲームをしていることは知っていたが、この時はあくまで時間潰しのためだろうと思った。が、何の接触もなく1時間近く駐車した後、彼女は再びベンツを始動させたのである。 SAを出てから小雨が降ってきた高速道路を北上するベンツは、時に時速150キロも出して次々と車両を追い抜いていく。右に左にと車線を変更しながら、まるでテレビゲームのカーチェイスのような運転をしていた。 このまま追跡するのは危険と判断した私は、和歌山ICで諦めることにした。 (つづく)(吉田隆/記者、ジャーナリスト)

最終更新:日刊ゲンダイDIGITAL