簡単!ワイパーの交換方法~業者との料金比較・選び方・交換時期も解説~

ライター紹介

現役整備士車専門Webライター

太田 りく 氏

所有資格は整備士3級。得意な記事は車の構造やメンテナンス関連。趣味はドライブ。車が好きだったため、車とは関係のない職場から整備工場へ転職。現在は働きながら2級を目指して奮闘中。現場でのリアルな情報を読者の方にお伝えできるよう心がけていきます。

ワイパーは雨や雪の日に欠かせない装備です。もしワイパーの拭き取りが悪いと、視界が悪くなり非常に危険です。そんな事態を防ぐために、工具不要で簡単にできる、自分でワイパー交換する方法についてわかりやすく解説します。また、自分で交換するか業者に依頼するか迷っている方、自車に合うワイパーが選べるか心配な方向けに、以下も詳しくご説明します。

ワイパーは3つの部品で構成されています。

  1. ワイパーゴム
  2. ワイパーブレード
  3. ワイパーアーム

この中で定期交換が必要な部品は1.ワイパーゴムと2.ワイパーブレードです。メーカーや車種によってサイズや形状が異なるため、自車と合わなければ取り付けられません。部品が愛車に適合するかをしっかりと調べてから購入するようにしましょう。

ワイパーゴムの交換は工具を使わずに、簡単に行うことが可能です。

車種によっては、ワイパーにボンネットが被っていて、そのままでは立てられない場合があります。その場合ワイパーを一度作動させ、垂直になったときに止めてワイパーアームを立てるようにしましょう。

引き抜きにくい場合は、ワイパーアームからワイパーブレードを取り外してから作業してみてください。このとき、ワイパーブレード、もしくはワイパーアームとガラスの間に、必ずタオルなどのクッションになるものを置くようにします。ワイパーアームは、ばねの力でワイパーゴムをガラスに押し付けています。そのため、立てているワイパーアームに少し触れただけで、ガラスに向かって勢いよく倒れてしまいます。その勢いのままガラスに当たってしまうと、ガラスが割れる可能性があり大変危険です。万が一に備えてしっかりガードしておきましょう。

ワイパーゴムの溝を、ワイパーブレードのツメに沿わせながら差し込みます。溝がツメからズレることがよくあるので、しっかり確認しながら差し込んでください。

外れ止め防止が突起タイプのゴムの場合、突起の向きに注意が必要です。突起の向きは、ワイパーが垂直になった際に突起が下に来るようにしましょう。向きが異なると、遠心力でワイパーゴムだけ飛んでしまう可能性があります。

これでワイパーゴムの交換完了です。

ワイパーゴムの交換が終わったら、きちんと取り付けられているか必ず確認しましょう。

以上のことを確認し、問題がなければ、作業は終了です。

簡単!ワイパーの交換方法~業者との料金比較・選び方・交換時期も解説~

作業前に、ワイパーアームとガラスの間に厚手のタオルを置いておくと安心です。ワイパーアームが倒れ、ガラスが傷つく可能性を軽減できます。

ワイパーブレードの交換手順は以下の通りです。

  1. ブレードからゴムを外す(ワイパーゴムの交換と同じ要領)
  2. ワイパーブレードを少し傾ける
  3. 取り付け部分の突起(つめ)を押しながらスライドさせ、そのままブレードを取り外す
  4. 外したときと逆の手順で新しいブレードを取り付ける
  5. ブレードが確実に固定されていることを確認する

なお、ワイパーブレードの種類を変更する場合、交換前に使用していたワイパーゴムが使用できなくなる可能性があります。後述するワイパーゴム・ワイパーブレードの選び方を参考に、ゴムとブレードの相性が良いもの用意しておきましょう。

ご自分でワイパー交換はできそうでしょうか?ご自分で交換するか業者に依頼するか迷っている方向けに、料金の比較をしてみました。

ワイパー交換は、基本的にカーケアを行う店舗であればどこでも対応してくれます。しかしパーツのラインナップの多さや価格、工賃は、業態によってさまざまです。

自分で交換カー用品店・ガソリンスタンド整備工場ディーラー
ワイパーブレード500円~4,000円1,500円~3,000円1,500円前後2,000円~4,000円
ワイパーゴム500円~2,000円1,000円~2,000円1,000円前後1,000円~2,000円
工賃0円200円~500円300円~600円1,000円~3,000円
合計金額1,000円~6,000円2,700円~5,500円2,800円~3,100円4,000円~9,000円

純正品にこだわりたいならディーラー、すぐに交換したいなら最寄りのガソリンスタンドなど、状況に応じて選択すると良いでしょう。ワイパー部品をご自分で交換する方法もおすすめです。ネットなどで部品を安く購入できる場合、工賃が発生しない分ないため節約できます。

ここからは、ご自分でワイパーの部品を交換するための、パーツの選び方について解説します。

ワイパーの各パーツはメーカーや車種によってサイズや形状が異なるため、自車と合わなければ取り付けられません。パーツの種類は無限にあり、判断が難しい項目もあります。確実に自車と合う部品かどうかを確認するには、以下の方法がおすすめです。

  1. 車検証をカー用品店に持参し、ワイパー適合表と照らし合わせる
  2. 既存のワイパー部品を取り外してカー用品店に持参し店員に尋ねる
  3. 車種、年式、型式を絞ってネットで調べる

クルマの型式は、クルマの形状や製造年月日によって異なり、型式ごとに合うワイパー部品もバラバラな場合があります。形式は通常、車検証の中央左側に記載されているので、しっかりと確認しておきましょう。カーショップなどに置いてあるワイパーの適合表を見て、自分のクルマの型式欄に記載された部品を購入すると安心です。

さらに、以下の3項目を確認しておくと間違いないでしょう。

フロントガラスに2本のワイパーが付いている場合、運転席側と助手席側で長さが違うことが多いので注意しましょう。「運転席側のワイパーサイズだけを見て、2本同じものを買ったけど、助手席側には長すぎて付けられなかった」ということがないように、長さの確認をしておくと安心です。フロントガラスに2本のワイパーが付いている場合、運転席側と助手席側で長さが違うことが多いので注意しましょう。「運転席側のワイパーサイズだけを見て、2本同じものを買ったけど、助手席側には長すぎて付けられなかった」ということがないように、長の確認をしておくと安心です。

ワイパーゴムは2種類あり、ワイパーブレードの種類に合わせて選ぶ必要があります。

使用可能なタイプ名判断のポイント
ストレートタイプワイパーブレードの両端がL型の外れ止めになっている
突起付きタイプワイパーブレードの取り付け部のツメに挟んで固定

ストレートタイプのワイパーゴムは、リアワイパー用がほとんどです。

ワイパーアームとワイパーブレードを同時に交換する場合、取り付け形状の確認が必要です。ワイパーブレードは見た目で判断するのは難しいため、車検証に記載されている型式を確認し調べる方法がおすすめです。

取り付けられる形状がわかったら、次はどんな種類のワイパーを使いたいかを選びます。 ワイパーゴムは4種類、ワイパーブレードは3種類に分けられます。それぞれの特徴や注意点を確認してみましょう。

ワイパーゴムの種類特徴こんな人におすすめ
スタンダードタイプ新車時のほとんどのクルマに装着されている/価格がもっとも安い普段の街乗りに使うクルマに使用する人/価格を重視する人
グラファイトタイプ「グラファイト」という炭素粒子をワイパーゴムの部分に使用している/ガラスとの摩擦抵抗を少なくすることができるクルマのガラスに撥水コーティングをしている人/ガラスとワイパーゴムの摩擦による、キズやビビリ音が気になる人
撥水タイプワイパーゴムの表面にシリコンコーティングがされている/ワイパーを使用することで、ガラスに撥水効果が得られるガラスコーティングをする手間を省きたい人
雪用タイプ凍結などを防ぐため、ワイパーブレードの金属部分がゴムで覆われている/気温が低くなっても、硬くなりにくいゴム素材を使用している積雪のあるような寒冷地で乗車する人
ワイパーブレードの種類特徴注意点
トーナメントワイパーもっとも一般的な形状のため、価格が安い/メインのフレームから複数の小さいフレームに分かれてワイパーゴムを支えるため、全体に均一な圧力がかかる風の抵抗を受けやすいため、高速走行時に浮き上がりやすい/サビなどの劣化が起こると、圧力が均一ではなくなる
フラットワイパーブレードとゴムが一体化している/フロントガラスのカーブにフィットするため、拭き取り性能が高いトーナメントワイパーに比べ、高めの価格設定となっている/構造上、ワイパーゴムのみの交換ができない
エアロワイパートーナメントワイパーのフレーム部にカバーをかぶせた構造/デザイン性の向上と、風の抵抗を受けにくい輸入車へ取り付けたい場合は適合の確認が必要(主に国産車向けのため)

フラットワイパーはブレードとゴムが一体化しているため、ゴム単体で買う必要はありません。ご自分のクルマに合うものであることが前提ですが、求める性能や価格、お住まいの地域によって、使うワイパーを選んでみてはいかがでしょうか。

そもそもワイパー部品がどのような状態になったら交換が必要なのでしょうか。パーツ別に解説します。

ワイパーには保安基準があり、適合しないと車検が通りません。使用頻度や使用環境、クルマの保管状況によって劣化のスピードは異なります。ワイパーゴムの交換は年1回を奨励していますが、もしワイパーゴムに以下の劣化のサインを見つけた場合、早めに交換することをおすすめします。 【スジ状の線が残る】拭き取れる部分と拭き取れない部分が発生します。キレイに拭き取ることができない状態です。

【拭きムラができる】スジ状の線が残る場合と同じで、拭き取れる部分と拭き取れない部分が発生している状態です。

【音がする】「ワイパーがビビる」と言われる症状です。ワイパーを作動させたときに、引っかかるようなバタバタという音がしたり、無理に押し付けてこすっているような音がしたりします。

【水がにじむ】ワイパーを作動させても、水が薄く伸びたような状態になります。ワイパーゴムの端が裂けている劣化により端が裂け、だらんと垂れている状態です。こうなると、どんどんワイパーゴムは裂けてしまいます。 拭きムラや音がするなどは、ワイパーブレードが劣化しているときにも症状が現れます。ワイパーゴムを交換しても症状が改善されなかった場合は、ワイパーブレードも交換してみましょう。

ワイパーブレードはワイパーの骨格といえます。ワイパーブレードは交換時期の目安はありませんが、劣化が進むと折れてしまうこともあります。以下の状態になったら、すぐに交換しましょう。 【割れ】ワイパーアームとの取り付け部分にヒビが入ったり、最悪の場合折れたりします。

【変形】雪が積もった状態でワイパーを動かすと、雪の重みで曲がってしまうことがあります。

【錆】可動部が錆びることによって、ガラスにしっかりフィットせず、ガラスにかかる圧力がバラバラになってしまいます。

ワイパーゴムをより長持ちさせるためには、ゴム製品がどのように劣化するのかを知る必要があります。

たとえば、輪ゴムで以下の経験はありませんか?

これらの現象はゴムが熱や紫外線などによって固くなり、劣化したために生じています。 ワイパーゴムもゴム製品なので、同様の劣化が起きやすいのです。対策として以下の4つのコツを実践すると、よりワイパーゴムを長持ちさせることができます。

ガラスについた汚れは、ついついワイパーで落とそうとしてしまいがちです。しかしそれによりワイパーゴムが傷つき、劣化しやすくなります。ウェットティッシュなどをクルマに積んでおき、できるだけワイパーで無理に汚れを落とさないようにしましょう。

ガラスがキレイな状態だと思っても、目に見えない砂やホコリなどが付着しています。乾いた状態でワイパーを動かすと、砂ぼこりを引きずるように拭いてしまいます。するとワイパーゴムだけでなく、ガラスも傷つきかねません。ガラスが乾いているときは、ウィンドウウォッシャーなどを使って十分に濡らしてからワイパーを作動するようにしましょう。

暑い日は、熱によりワイパーゴムがやわらかくなります。すると、ワイパーアームのガラスに押し付ける力に負け、ワイパーゴムの変形が進みます。そして夜になり気温が下がると、変形したままワイパーゴムが固まるのです。 寒い日は凍結により、ガラスとワイパーゴムがくっつきやすくなっています。無理に動かすとゴムがちぎれてしまうこともあるでしょう。また、積雪があるときは雪の重みで変形したり、ワイパーブレードが折れたりするリスクもあります。暑い日や寒い日にワイパーを立てておくことは、ワイパーの劣化を防ぐために有効な手段といえるでしょう。

コーティングをすることで、汚れを付きにくくすることもワイパーの劣化を防ぐ方法の1つです。他にもコーティングの効果として、ガラスとワイパーゴムとの摩擦抵抗を減らし、汚れを落ちやすくすることができます。そのため、ガラスとワイパーゴムの両方を保護することが可能です。

撥水コーティングは、文字通りガラスの水弾きを良くします。水滴がどんどん流れるので、雨の日の走行中にワイパーを作動させる頻度が少なくなります。ワイパーを使う機会が少ないと劣化を遅らせることができ、さらに愛車を綺麗な状態に保つことが可能です。

ワイパーは使用頻度も高く、良好な視界を確保するという重要な役割を担っています。ワイパーのパーツは「悪くなったら交換しよう」と思いがちですが、安全のためにも定期交換することをおすすめします。

ワイパー以外にも経年によって交換が必要になるものがあります。古い車の交換目安の部品についてまとめていますので併せてこちらもご確認ください。

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