メルセデス・ベンツC220dアバンギャルド(FR/9AT)【試乗記】 クルマはやっぱり走らせてなんぼ

ちょっと刺激が強すぎる?

メルセデス・ベンツCクラスに筆者が抱くのは、クルマ選びにおける「いい買い物」というイメージだ。今では「A/Bクラス」といったコンパクトセグメントが当たり前のように定着しているけれど、依然としてメルセデスが持つ質感や品質の高さ、そして歴史を、一番小さい形に凝縮したセダンであるのがその理由だ。

メルセデス・ベンツC220dアバンギャルド(FR/9AT)【試乗記】 クルマはやっぱり走らせてなんぼ

Cクラスの起源となる「190シリーズ」が登場したとき、筆者はまだ免許も持っていない小僧っ子だったが、それでも「将来はこんなクルマに乗れたらステキだ」と感じたものだった。そこにはDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)への参戦という飛び道具のインパクトも影響していたが、あの「Sクラス」をデフォルメしたかのような、かわいらしくも堂々としたたたずまいに、勝手にシンパシーを感じていたのだと思う。今風に言うと、ちょっと、いやかなりオタクですね。でもこの頃のクルマ好きとは、そういうものだった。

ふとそんなことを思い出したのは、新型Cクラスのアピアランスを見て、運転席に座り、先代にも増してさらにアカ抜けたな、と感じたからだ。

ダッシュボードからセンタートンネルにかけて大きくT字状に張り込まれたピカピカのパネル。中央には今日のSクラスばりに大きな縦型の11.9インチタッチパネルが鎮座している。Aクラスからの横長パネル、好きだったんだけどなぁ。テスラに負けたくないのかしらん?

このタッチパネルの設置により、丸くて大きなエアコンルーバーは上方に押しやられている。その形はAクラスの“タービンベント”より確かにコンサバだけれど、やっぱりダッシュと同じくピカピカしている。そしてパネルのつなぎ目では、うっすらと紫の(カラーは変更可能だが)アンビエントライトが、ムーディーに光っている。

うーん。正直に言いましょう。おじさん、ちょっと落ち着かない(汗)。なんだかパリとか西麻布とかにありそうな、最先端すぎてご飯の味がわからなくなるコンセプトレストランに連れて行かれたみたい。撮影のために早起きして、まだ寝ぼけているカラダとアタマには、ちょっと刺激が強すぎる感じだ。

2021年6月に日本導入が発表された新型「メルセデス・ベンツCクラス」。その後、受注開始の延期や仕様・価格の変更など紆余(うよ)曲折あったものの、無事に日本でもデリバリーが開始された。
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内外装はともに現行型「Sクラス」に通じる意匠。インストゥルメントパネルまわりは、センターコンソールとダッシュボードが一体となったデザインと、巨大な11.9インチのモニターが目を引く。
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車内を彩るアンビエントライトは、64種類のなかから色を選択可能。単色だけでなく、複数の色を組み合わせたグラデーション発光も用意されている。
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前席には電動調整機構やシートヒーターを採用。試乗車にはオプションの本革シートが装備されていた。
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後席は4:2:4の3分割可倒式で、中央部のみを倒すことで、長尺物を積みつつ4人乗車も可能となっている。
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