ディズニーの映像配信サーヴィス「Disney+」が、マーベル作品の新たな視聴方式として「IMAX Enhanced」を11月12日に追加した。さらに大きなサイズの映像が特徴で、高品質の映像と音響を実現する規格だ。この点でドルビービジョンやドルビーアトモスを思わせる。しかも幸いなことに、既存のほとんどのテレビで新規格の恩恵を受けられる。
多くのテレビが対応しているさまざまな映像規格と同じように、IMAX Enhancedも映像とオーディオの規格の複雑な組み合わせである。これらの規格はスタジオが映画を家庭用のフォーマットを整えて配信する際に、最高の品質を実現する上で役立っている(少なくともスタジオが選択した規格では、という条件の下での話だ)。
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視聴者はほとんどの場合、テレビとの互換性を確認するだけでいい。例えば、ドルビーアトモスでミックスされた音を聴くには、サウンドバーがドルビーアトモスに対応しているか確認する必要がある。それ以外には何も把握していなくても、必要な設定は完了する仕組みだ。
IMAX Enhancedがほかの規格と異なるのは、「IMAX」の部分である。IMAXの巨大スクリーン用に撮影する映画は、通常の映画よりも縦長のアスペクト比(フレームの形状)で撮影できる特別なカメラを使わなければならない。
最近ではザック・スナイダー監督の『ジャスティス・リーグ』で、この違いが強調されていた。通常のように上下に黒帯を設けるのではなく、左右を黒帯にして、より縦長で正方形に近い画面形状でストリーミング配信したのだ。これは視聴体験に大きな影響を与える可能性がある。
画面上下の「黒帯」が大幅減少
多くの映画はたいていワイドスクリーンフォーマットで上映されている。一般的にスクリーンの形状は画面の縦横比で表記されるので、これを「アスペクト比」と呼ぶわけだ。映画のウルトラワイドフォーマットの比率は2.39:1で、これはスクリーンの横幅が縦の2.39倍であることを意味している。
一方、「IMAX版拡大アスペクト比」は1.9:1で、同じ幅でもかなり縦長になっている。映画でIMAXカメラを使用する場合、マーベルが『ドクター・ストレンジ』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』でそうしたように、アクションシーンなどの一部のシーケンスをこのアスペクト比で撮影することが一般的だ。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』や『アベンジャーズ/エンドゲーム』のように映画全体をこのアスペクト比で撮影することも稀にある。これらのシーンや映画全体は、特にIMAXシアターで観ると、さらに大きく、さらに迫力がある。
ただし、問題もある。これらの映画のフォーマットを家庭への配信用に合わせようとすると、一般的にウルトラワイドのアスペクト比に限定されてしまうのだ。つまり、IMAX映画のショットはすべてトリミングされ、オンラインで見るヴァージョンでは細長いフレームからはみ出た部分がすべて欠落してしまう。
これはほとんどの場合に大きな問題にはならないが、映画が少し違って見えることは確かだろう。さらに困ったことに、IMAX映画がレターボックス化されて、上下には巨大な黒帯が表示されてしまう。
これに対して新しい「IMAX Enhanced」フォーマットでは、従来なら欠落していたスクリーン領域のかなりの部分を取り戻すことができる。テレビのアスペクト比は通常1.77:1と若干縦長であることから、このフォーマットでもわずかに黒帯が残っている。だが、従来のウルトラワイドスクリーン映画に比べて約26%も大きな映像を表示できるわけだ。