少女は、森のなかに打ち捨てられた、ひとかたまりの衣服のようにしか見えなかった。
1月の冷え込むある日曜日、ミシガン州カラマズーの森を散歩していたカップルは、はじめ、目の前にあるものがいったい何なのか、よくわからなかった。
あたりには、ごみや瓦礫が散乱していた。しかし徐々に、それが女性であることが見えてきた。左に折れ曲がった片脚。編み込まれた髪の毛。男性が呼びかけたが、少女は動かない。男性は警察に通報した。そして警察のオペレーターに対し、「怖い」と告げた。
発見されたのは、高校2年生のミュージェイ・ドゥンブヤ(Mujey Dumbuya)だった。ミュージェイはよく笑う少女だった。ダンスを愛し、よく人を褒めた。とても長いテキストメッセージを書いた。ファーストネームをアメリカ風に「Mujay」と書くのを好んだ。本当のスペルは「Mujey」だったので、リベリア人の家族はそれを残念がっていた。ヘアスタイルとメイクアップにこだわりがあり、靴に目がなかった。ティーンエイジャーのわりには几帳面で、きれい好きだった。
ミュージェイは2017年の夏、42歳のクイン・アンソニー・ジェームズから性的暴行を受けたと警察に通報した。ジェームズは、彼女が通う学校で用務員として働いていた男だ。
2017年11月にミュージェイが被害届を提出すると、ジェームズは逮捕され、4つの訴因における第3級性犯罪で起訴された。ジェームズは無罪を主張。保釈金を支払って釈放されたものの、用務員の職を失った。また、ミュージェイへの接近禁止令が出された。
しかし、4月に予定されていた裁判を前に、ミュージェイは行方不明になった。最後に目撃されたのは、通学のためにスクールバス乗り場へと向かう姿だった。