ニュース ベントレー コンチネンタルGTは、エンブレムのごとく羽の生えた加速を見せた【10年ひと昔の新車】

ベントレー コンチネンタルGT(2011年:2代目フルモデルチェンジ)

ボディ前後に付けられたエンブレムのごとく、2.3トン以上あるボディに羽が生えたように疾走する。

ニュース ベントレー コンチネンタルGTは、エンブレムのごとく羽の生えた加速を見せた【10年ひと昔の新車】

「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、ベントレー コンチネンタルGTだ。【写真はこちら】W型12気筒ツインターボ搭載!ベントレー コンチネンタルGT(全9枚)2003年に発表された初代コンチネンタルGTは、ベントレーとしてはとてつもなくヒットしたモデルだった。というのも、これ以降ベントレーの販売台数はうなぎ上りで、会社設立から80年間で1万6000台ほどだった販売台数をコンチネンタルGTシリーズは、わずか7年間で2万3000台に到達させたのだ。ヒットの要因はいくつかあるが、およそ2000万円という画期的な値付けが果たした役割は大きいだろう。それまで4000~5000万円台しかラインアップしていなかったベントレーが、一部の人々にとってはグッと身近になった。もはやライバルはロールスロイスだけでなく、メルセデス・ベンツのSLやCL、もしくはそのAMG版といったところにある。では、7年ぶりにモデルチェンジしたコンチネンタルGTは、どう進化したのだろう。まずスタイリングだが、ここに大きな変更はない。ヒットしたモデルの2世代目は大きく変わらないという定説どおり、キープコンセプトで仕上げられた。だが、細部を見ると「こんなところも!」というくらい、きめ細かな進化の跡が見られる。たとえば、LEDを使ったヘッドランプまわりやエッジの付いたプレスライン。中でもリアのデザイン処理は大きく変わった。トランクリッドの位置が低くワイドになったことで、よりスポーティに見えるようになった。先代と実寸はほとんど変わらないが、横長のテールランプを低い位置に配したことでそう感じる。

アクセルを踏み込むとW12エンジンは性格を一変

シャシフレームは従来型を煮詰めたもので、パワートレーンもそれに準じる。6LのW12 DOHCツインターボというプロファイルは変わらないものの、最高出力は15psアップの575ps、最大トルクも50Nmアップの700Nmとなる。最高速度は318km/h、0→100km/h加速加速は4.6秒だ。このエンジン、実際に乗った印象は総合的に上品な味付けなのだが、いざアクセルを踏み込んでいくと性格を一変する。3500rpmあたりで一度サウンドが喉を鳴らす猛獣のようになり、さらにシフトダウンして5000rpmまで引っ張ると、乾いた高音へと変化する。このあたりのサウンドとフィーリングは、もはやレーシングカーだ。しかも、アクセルに反応して前へ飛び出して行く様もそれに近く、これだけのボディをいとも軽々しく運ぶ。まるでエンブレムのごとく羽が生えているように、だ。ちなみに、車両重量はこれまでより65kg軽い。フロントシートを再設計したり、リアサスペンションにアルミを採用した結果である。駆動方式は、これまた従来車と同じ4WD。だが、トルク配分は前後50:50から、従来型コンチネンタルGTをベースにしたハイパフォーマンス版のスーパースポーツと同じ40:60となった。目的はスポーティなハンドリングとアンダーステアの軽減だが、正直それは十分に達したと思える。アクセルを踏めば踏むほどFRスポーツのような挙動を得られるからだ。インテリアでは、インフォテインメントシステムが大幅に改良されており、さらに8インチのタッチセンサー式スクリーンが備わる。これでインターフェースは鬼に金棒。それに、なんといっても革類の手作り的高級感は最高だ。ビスポークの国の代物だけにオーダーも自由だし、もはや言うことなし。あと必要なのは、お金とセンスだろうか。■ベントレー コンチネンタルGT

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